「住みたい街」として常に上位にランクインする福岡。その魅力は、都市の利便性と豊かな自然が調和した暮らしやすさにもあります。
このコラムでは、福岡で土地を探し、あなたらしい理想の住まいを実現するためのお役立ち情報をお届けします。
目次
福岡市の住宅用土地相場推移状況

2020年から2023年にかけて、福岡市では土地の価格が右肩上がりですが、2023年から2024年にかけてはこの上昇傾向が止まり、若干の下落傾向に変化してきています。
福岡市の近年の土地相場推移の要因
<2020年から2023年ごろ>
この時期福岡市内の住宅用の土地が上昇した大きな要因として、「低金利環境と住宅ローン減税制度の組み合わせ」と「天神ビッグバンをはじめとする都市再開発プロジェクトの推進」があげられます。
・低金利環境と住宅ローン減税制度
低金利施策により、住宅購入の経済的なハードルが劇的に下がりました。
また、住宅ローン減税も延長され、相乗効果で住宅の需要が高まったことが要因としてあげられるでしょう。
・都市再開発プロジェクト
警固断層のリスクがある中、更新期を迎えたビルが耐震性の高い先進的なビルに建て替わることにより、多くの市民や、働く人・訪れる人の安全・安心につなげ、さらに都心部の機能を高め、新たな空間や雇用、税収を生み出そうという意図で展開している「天神ビッグバン」や博多駅前の再開発である「博多コネクティッド」が代表的で、他にもFUKUOKA NEXT., 博多旧市街プロジェクト、Fukuoka Smart East., ウォーターフロントネクストなどがあります。
これらの再開発プロジェクトが進んだことで、高額な物件であっても購入を検討しやすくなり、需要を大きく喚起したのではないかと考えられます。
<2023年から2024年にかけて>
・複合的要因
この時期に住宅用土地の平均坪単価の上昇が止まり、若干下落傾向になった背景としては、「金利上昇」、「建築費高騰の継続」、「景気減速懸念」といったマクロ経済的な要因に加え、「福岡県の人口減少」、「住宅の供給動向」、「都市開発の状況」などが、複雑に絡み合って価格を変動させていると考えられます。
出典:福岡市HP
福岡市で人気のエリア

それでは、福岡市で人気があるエリアはどのあたりでしょうか。suumoで発表されたランキングをもとにみてみましょう。
・2024年福岡の「住み続けたい街(駅)」ランキング
- 薬院大通(地下鉄七隈線)
- 祇園(地下鉄空港線)
- 薬院(西鉄天神大牟田線)
- 大濠公園(地下鉄空港線)
- 赤坂(地下鉄空港線)
- 名島(西鉄貝塚線)
- 六本松(地下鉄七隈線)
- 西新(地下鉄空港線)
- 茶山(地下鉄七隈線)
- 櫛原(西鉄天神大牟田線)
駅をもとにした住み続けたい街ランキングでは、やはり福岡市内が多いです。1~9位までを福岡市が占めていますね。
その中でも1位の「薬院大通」は前回も1位、3位の「薬院」は前回2位ということで、薬院界隈は非常に根強い人気があることがうかがえます。
その人気の理由は、「雰囲気やセンスのいい、飲食店や個人商店(書店、美容院、雑貨屋など)がある」という点が多いようです(薬院大通で魅力項目2位、薬院で1位)。個性があっておしゃれな小さなカフェやレストラン、ショップを中心に、メディアにもよく取り上げられる店が多く、地域に住まう人たちもそれらのお店に愛着をもち、家の近所にお気に入りの行きつけがある幸せを満喫しているようだと分析されています。
次に、2位にランクインしているのは「祇園」です。こちらは前回より4ランクアップとなっています。「祇園」駅というとビジネス街のイメージを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、路地に入ると博多部(博多旧市街)の古い歴史と下町らしさを感じることができる独特な雰囲気を醸している町です。
例えば、博多祇園山笠で有名な櫛田神社の表参道にあたる路地には、古くから博多の街で愛される蕎麦店「信州そば むらた」、観光客に人気の「ポーたま 櫛田表参道店」など、洒落たワインバーやビストロが立ち並んでいます。小さな間口の町家のような建築物も多く、この街並みがかつて太閤・豊臣秀吉が町割りを行った博多部っぽさを感じさせてくれます。
また木造大仏のある東長寺、日本茶発祥の地である聖福寺、うどん・そば・まんじゅうなどの粉文化の発祥地である承天寺も「祇園」駅の近くです。福岡市も「博多旧市街ライトアップウォーク」を開催するなど、この界隈を盛り上げてくれています。
総じて、祇園はこのような深みのある「街らしさ」が感じられることが魅力になっているようです。
他方、今回のランキングでは9位の「茶山」駅が前年度よりも22ランクアップするという特徴的な動きを見せています。
「茶山」駅は地下鉄七隈線開通にともない開業した駅です。
開業した当時と比べて、現在の街の雰囲気に大きな変化はありませんが、2023年に地下鉄七隈線が延伸したことで、博多駅へのアクセス時間が大幅に短縮されました。博多駅まで約16分、天神南駅まで約12分の距離となったことで、新しく住宅を検討する層から注目を浴びるようになったのです。そのような理由から、「茶山」駅の魅力3位に「今後、街が発展しそう」が入っているのもうなずけます。
今後、福岡市内で住まいを検討していて、特に戸建てを検討している場合は、「茶山」駅より南側にある「梅林」駅・「野芥」駅・「賀茂」駅などに注目が集まるりやすいのではないかと考えられており、七隈線利用者数も増加していくのではないでしょうか。
なお、「茶山」駅の魅力の1位は「街に賑わいがある」だそう。駅近くに田島小学校、城南小学校、城南中学校、城南高校と公立の学校がたくさんあることも、その一因かもしれません。
・2024年福岡の「住み続けたい街(自治体)」ランキング
- 福岡市中央区
- 糟屋郡新宮町
- 福岡市西区
- 福岡市早良区
- 福岡市城南区
- 福岡市博多区
- 春日市
- 北九州市戸畑区
- 北九州市小倉北区
- 筑紫野市
1位は、福岡市中央区です。
福岡市中央区は人口約19.5万人。福岡市の7つの行政区の中で城南区に次いで2番目に人口の少ない区ですが、既出の「住み続けたい街(駅)」ランキングで1位の「薬院大通」駅,3位の「薬院」駅,4位の「大濠公園」駅,5位の「赤坂」駅,7位の「六本松」駅を抱えている自治体ということで、1位になるのも納得の結果ですね。
商業施設や公園も整備されていますし、非常に優れた利便性と自然を兼ね備えたエリアではありますが、既出の「福岡市の住宅用土地相場推移状況」のような価格推移によって10年前の約2倍程度の坪単価になっており、住宅建築を考えた場合には土地探しや土地価格の高さが懸念点となりやすいといえそうです。
出典:suumo
福岡市のおすすめエリアは?

それでは住宅建築にあたり、どのようなエリアがおすすめといえるでしょうか。
ポイントとなりやすい平均単価と利便性の面からいくつか挙げていきたいと思います。
(以下、それぞれの地域の平均住宅価格が出てきますが、福岡市の平均住宅価格は4,166万円です)
福岡市南区
・平均住宅価格 約3,640万円
・西鉄天神大牟田線やJR鹿児島本線が通り、天神・博多まで20分以内でアクセスできる
・福岡市中心部からそれほど離れていないにもかかわらず、閑静な住宅地が広がっており自然環境も豊か
福岡市西区
・平均住宅価格 約4,053万円
・地下鉄空港線やJR築後線が利用でき、博多や福岡空港へのアクセスが良い
・駅の周辺には商業施設や公共施設がそろっているほか、海や山などの自然が豊かで公園も多い
福岡市城南区
・平均住宅価格 約4,060万円
・地下鉄七隈線が通り、天神や博多へのアクセスが便利
・福岡大学や中村学園をはじめ、教育施設が多く、生活利便性が高い
福岡市東区
・平均住宅価格 約3,775万円
・香椎駅周辺は特に交通の便が良く、福岡市中心部まで快適にアクセスできる
・アイランドシティなどの再開発が進み、美しい街並みと未来的な印象で人気が高い
以上、福岡市における近年の土地の価格推移位状況や人気度と、それをふまえたおすすめエリアをまとめてみました。参考になれば幸いです。